オデッセイ/手に汗握るサバイバル!望みは主人公の科学力のみ!

作品情報
【おすすめ度】★★★★ 4/5点
【ジャンル】SF・ヒューマン
【公開】2016 年 (日本)
【監督】リドリー・スコット
【出演】マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、ジェフ・ダニエルズ、ショーン・ビーン、etc.
ストーリー
有人火星探査計画”アレス3”の任務中、火星地表で巨大な嵐が訪れる。現場責任者メリッサの判断で任務を中断し地球への帰還することを決定。
クルー6人は離陸船へ向い火星を脱出しようとするが、嵐で吹き飛ばされたアンテナが、マーク・ワトニー(マット・デイモン)にぶつかり他のクルーと通信が途絶えてしまう。
メリッサは一度は助けようとするが、マークの宇宙服の酸素減圧などの状況から、マークは助からないと判断し離陸してしまう。NASAもその報告を受け、マークは死んだとして、葬儀まで行う。
一方、嵐の過ぎ去った火星地表では、アンテナが刺さり重症なもののマークは一命をとりとめていた。
基地に戻り、傷の手当をしたマークは、生き延びることを決意。食料の残量を計測するが、当初の計画していた31日✕6人分+αのみ。
また、次の有人火星探査線が来るのは4年後。しかも地球や帰還中のクルーとは連絡が取れない・・・絶望の中でマークは生きて地球に帰ることができるのか!!
こんな人におススメ
もちろんSF好きな人には絶対におススメ!
予告などでも分かる通り、主人公の科学の知識だけで、長い間生き延びる必要があるので、科学が好きな人も楽しめると思います。
ジャンルに「ヒューマン」を入れましたが、結構な感動作品です。(あんまりそう言う批評をする人は見かけませんが・・・)
そう言う感動系のお話が好きな人も楽しめると思います。
なお、今作はかなりリアリッティを重視している作品ですが、ソコはやっぱりSFのお話なので、科学的に整合性が取れない映画に
目くじら立てるような、科学オタクの方は見ないほうがいいでしょう。(SF映画全般に言えることですが。)
感想・ネタバレ無し
かなりのリアリティ!見ていて違和感が無いくらい。
本作の時代設定は公表されていませんが、かなり現代に近い未来の話だと思われます。(火星に有人探査ができているので)
でも、いわゆる近未来と言う感じではなく、今日・明日に起きていても違和感無いくらいに、現実味を帯びている雰囲気でした。
そのリアリティさがあるおかげで、話にのめり込みやすいですし、「生き残るぞ!」と言う主人公に感情移入してしまいます。
また取り残されたマット・デイモン・・だけど今度はとっても前向き!
色々な映画批評でも話題になっている話ですが、マット・デイモンはまた取り残されてしまいましたね。
プライベート・ライアンしかり・・・

インターステラーしかり・・・

でも、今回のマット・デイモンは違いました。とっても前向きで、自分の力を信じて絶望に立ち向かうのです。
まぁそう言う役なので、当たり前って言えば当たり前ですが、他の取り残され作品と比較してみても面白いと思います。
ディスコ・ミュージックが色を添える
これ、現代か近未来の話ですが、劇中でしょっちゅう70s〜80sのディスコ・ミュージックがかかります。
設定では、メリッサが趣味で持ち込んだ音源を、マークが気晴らしに聞いているってことなんですが、これが妙にマッチしていていいです。
私はディスコ世代ではないのですが、アラフィフ世代がみたら懐かしい曲ばかりじゃないでしょうか?
感想・ネタバレあり
※ココから先は、ネタバレがあるので、映画をご覧になった方のみお進みください。
ネタバレ感想を読む
日本版の予告編に物申す!
ネタバレ感想の最初が、予告編についてってのはちょっと変ですが、納得が行かない予告編がこちら。
生存者「1名」
水 「0」なし
酸素「0.13%」ほとんどなし
通信手段「0」なし
食料「31日分」
次の救助まで「1400日」
地球までの距離「225,300,000km」
って触れ込みに騙されました。
概ね、言っていることは間違いではないですが、
水なし⇢飲料水は結構あるし問題になることは殆ど無いです。
あくまで、食物を栽培するだけの水がないって感じでした。
酸素ほとんどなし⇢劇中で酸素不足で深刻な問題になるシーンは無いです。
むしろ基地内や宇宙服内など、酸素は潤沢にある感じがします。
食料⇢31日ちょっと✕6人分なので、実質200日近くあります。
最初映画を見る前までは、食料を栽培したって1ヶ月じゃ収穫できないだろ〜とか、飲料水や酸素はどういうふうに確保するんだろう〜とか、色々思いを巡らせていたのに、ソコへの回答は全く無いです。
ってか、そういう内容なんだから、ああいう予告にしちゃダメでしょって思います。
映画の内容ってか、予告の批判でした。
色々なところに小ネタがあって、クスクスと笑ってしまった
この映画、糞真面目な映画化といえばそうでもないです。リドリー・スコットと言う監督は意外と小ネタ好きなんじゃないかと思うくらいです。
まずは、水を作るために水素(ロケット燃料)を燃やすシーン。
マークはひとりごとで「今まで水素を燃やして事故なんて起きたこと無い!」って言って、その直後爆発してふっとばされます。
おいおい、そのコントみたいな振りなんだよ〜って笑いました。まぁ、言ってる時に「あ〜爆発するんだろうな〜」って思いますね。
次に、寒さを凌ぐために放射性物質を掘り起こして、ローバーの車内に置くと、ホットスタッフが流れるんですね〜。確かに「熱いのがほしい」ってことだけど、意味違うやん!って突っ込みたくなりました。(被爆してない?って疑問もありますが)
他にも、NASAでの秘密会議を「エルロンドの会議」ってコードネームで呼ぶんですが・・・
おいおい、ソコに当の「ボロミア」さんいるじゃないですか〜とか、

宇宙服のグローブに穴開けて、空気の放出で推進力を得る方法で、アイアンマンみたいとか、

映画ネタでもクスクスしちゃいました。
まあ、インターステラーに引き続き宇宙の果てに取り残されたマット・デイモンってところが、既に大きな小ネタ(意味不明)になっているんですがね〜。
社会的なメッセージが含まれている(って勝手に思った。)
この映画、たった1人のアメリカ人の白人青年を助けるため、世界中の人々が手を取り合って頑張るんです。
ロケットの軌道を計算する宇宙力学の専門家は、社会性ゼロのオタッキーな黒人ですし、火星までの燃料は中国政府が極秘にしていたロケットのものだし、全人類で一つの目的のため協力する姿を描いています。
私なんか、中国が協力しようと決断した時、思わず泣いてしまいました。
感情移入しすぎて、何度も涙ボロボロです。
先に書いた中国の協力シーンもそうですが、他にも何度も涙が出てしまいました。(私がマークに感情移入しすぎって話ですが・・・)
衛星写真で、マークの生存を確認するシーンで涙。(余談ですが、この衛生技師の女の子カワイイですね〜)

排泄物と火星の土を使って栽培したじゃがいもが発芽した時にも涙。

地球と連絡を取るためにマーズ・パスファインダーを思い出すところ、当時NASAの画像をワクワクしてみていたので、ココでも涙。
そして、パスファインダーのカメラを使って地球と意思疎通ができた時にも涙。

地球に帰還途中のクルーとの初の通信で、冗談を言い合うシーンでも涙。
ヘルメス号のクルー達が、NASAの決定を無視して助けに向かうことを満場一致で決定するシーンでも涙。
まぁ、こんなに涙した人はあまりいないでしょうが、とにかく泣けるシーンがいっぱいです。
突っ込みどころは無くはないが、とても満足行く作品!
正直、酸素はどうしてあんなに持ったの?とか、壊しちゃった宇宙船で地球まで帰れるの?とか、たった一人のために、どれだけの人とお金をつかうんだい!とか、世界が集まって観るほどのこと?とか、助かった瞬間のリアルタイム放送はおかしくない?とか、突っ込みどころ要素は結構あるのですが、その辺を考慮してもオツリが来るくらい面白い作品でした。140分とは思えないほどあっという間の映画です。
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SF, ヒューマン