Who am I ピエロがお前を嘲笑う/ドイツアカデミー賞6部門ノミネート&ハリウッド・リメイク決定。

作品情報
【おすすめ度】★★★☆ 3.5/5点
【ジャンル】クライム・サスペンス・ミステリー
【公開】 2015年(日本)
【監督】バラン・ボー・オダー
【出演】トム・シリング、エリアス・ムバレク、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング、アントニオ・モノー・Jr、ハンナー・ヘルツシュプルング、etc.。
ストーリー
世間を騒がせたサイバー犯罪の容疑者である天才ハッカーベンヤミンが、突如警察に出頭してくる。
彼は、担当の刑事にこれまでに起こった全てを自白し始めるのだった。
学校で冴えないベンヤミンは、中学の頃から思いを寄せるマリに思いを伝えられずにいた。
そんな彼女のため、大学に忍び込みサーバから試験問題のデータを盗み出そうとするが失敗し捕まってしまう。
更生のため行った社会奉仕活動で知り合ったマックスに誘われハッキング集団に入ることとなる。
こんな人におススメ
クライム・サスペンス好きな人には当然おすすめですが、
むしろあまりこのジャンルを見ていない人には結構新鮮な刺激があると思います。
ただ、コテコテのサスペンス好きだと先を読めてしまうかな〜って不安もあります。
ユージュアル・サスペクツやファイトクラブ、オーシャンズ11などが好きな方にもおススメの作品だと思います。
結構ショッキングな映像が出てきますので(PG-12)小さい子供には勧めません。
感想・ネタバレ無し
TSUTAYAさんで、『先行レンタル』ってラベルが貼ってあったので借りてみました。
調べたところ、ドイツアカデミー賞で6部門にノミネートされて、ハリウッドがリメイク権を買ったようです。
そんなに注目されている映画なのに、日本では上映していた映画館が少ないようです。
とても引き込まれる内容ですが、やっぱり単館系の臭がします。
知らない俳優たちだが、演技力は抜群
やはりドイツ映画ということもあり、出ている俳優さんたちはあまり見かけない顔の人ばかりです。
唯一見たことがあるのが、主人公のベンヤミンが惚れるヒロインのマリを演じたハンナー・ヘルツシュプルングくらいです。
確か4分間のピアニストって映画に出ていたと思います。

他の登場人物についても、個性の強い役のせいかそれぞれのキャラクターが立っていて、まったく演技に違和感を感じませんでした。知らない俳優だからこそ、変な先入観がなく見れたかもしれません。

やっぱり謎解きが醍醐味
クライム・サスペンスの醍醐味といえば、謎解きです。
終始、主人公の口から語られる内容が、回想シーンとしてスクリーンに映し出されます。
それを聞いている捜査官とともに、我々観客も推理していくと言う展開です。
私も先の展開を推理しながら楽しみました。
ただ、推理が当たったときに嬉しく思うか、「あ〜なんだそんなの読めたよ〜」って思うか人それぞれです。
感想・ネタバレあり
※ココから先は、ネタバレがあるので、映画をご覧になった方のみお進みください。
ネタバレ感想を読む
ツッコミどころは結構たくさんある
・図書館でわざわざお面つけるマヌケな主人公。(外して普通にしてたら一般の利用者じゃん!)
・机の下に隠れた犯人(主人公)を見つけられない捜査官って間抜けじゃね?
・家を燃やしたって話は嘘か〜い!ってその嘘いる?
・結局MRXは19歳の少年だったのに、そのためにマフィアが人殺しする?
・いくら緊急でも停職食らってる捜査官が尋問できるの?
・結局どの話が嘘で、どの話が本当かわからないじゃん。
結局全部の話しが嘘だったら元も子もないじゃん。って感じです。
しかしながら、これらの点を差し引いても、物語全体の展開が面白いので、チャラにできていると思います。
つまり、もう少し細かいところまで詰めて行ければ、より見ていて入り込める映画になったのでしょう。
ハリウッドでリメイクされる際は、そのあたりが改善されているといいですが。。。
推理の視点を少しずつヅラしていくのは秀逸
最初、主人公が警察に捕まって過去の犯罪をべらべらと喋り出す時点で、
「あれ?これってもしかしてユージュアル・サスペクツパターン?」ってすぐさま思ってしまいます。

なので、最初の1時間くらいは、敵(?)である天才ハッカーMRXの正体を推理してしまいます。
当然、「実は主人公のベンヤミン=MRXってことじゃない?」と同じ結末を想像してしまうわけです。
物語の見せ方もそういう雰囲気を漂わせているところが旨いです。
おそらくユージュアル・サスペクツを見たことある人を想定してわざと気が付かせるように作っているとおもいます。

ただ物語の終盤に、なんとそのMRXが捕まってしまいます。
当然「あれ?オチは違ったのか〜」ってことになり、ちょっと肩透かしを喰らいます。
すると違和感を感じた捜査官が、ベンヤミンの家を再度操作しに行くのです。
で!なんとそこで、アメコミのポスターの中にファイト・クラブのポスターが貼ってあるではありませんか。

そうです、ココで推理好きな観客は「なんだ〜、多重人格者ものか〜」って気づくわけです。
そういえば、主人公の俳優さんがどことなくエドワート・ノートンに似ているような気もします。
・・もっと勘の良い人は、手の傷でなんとなく気がつくのかもしれません。
しかし、まだ終わるはずがありません。
なんとそこを再度裏切る展開が・・・実は捜査官が多重人格者だと推理するように
主人公たちのハッカー集団がトリックをしかけていたのです。
思えば、始めの頃から言っていた「ソーシャル・エンジニアリング」とか、「システムの穴は人だ」みたいなことを
さんざん口にしていたのが伏線となっていたんですね。
この映画のすごいところは、先が読めないってことじゃない
この映画、サスペンス好きの観客からすると、「なんだ〜先の展開なんか簡単に読めてつまらなかったよ〜」という人も多いかな〜と思います。
しかも、映画の宣伝文句も「100%騙される」とか書いてますし・・・
しかし、この映画のすごいところはソコじゃないんです。
上にも書いてありますが、他の映画のオチを匂わせることで、観客の推理を誘導しているところがすごいんです。
つまり、「先なんか読めたよ〜」って言う人ほど、私のように「あの映画にそっくり!」と推理してしまうわけです。
それをあえて狙って作っていることが素晴らしいポイントだと思います。
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クライム, サスペンス, ミステリー